夏に6日間の休暇をとって韓国の5つの都市に位置する史跡と博物館を巡ってきました。
その時の記録を残しておこうと思います。
日程
あらかじめ決めていたわけではないですが、結果的に以下のスケジュールで行動しました。
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1日目: 東京→ソウル
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2日目: ソウル
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3日目: ソウル→水原→公州(gongju)
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4日目: 広州→釜山(busan)
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5日目: 釜山→慶州(gyeongju)→釜山
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6日目: 釜山→東京
以降は、各日程の詳細について記述していきます。
1日目: ソウルへの移動
初日は、成田空港から仁川国際空港へ飛行場で移動した後、直通列車AREXでソウルに向かいました。 だいたい40分ほどで到着した気がします。
ソウル駅
現ソウル駅の隣には、日本統治時代に作られた旧ソウル駅の駅舎が残っていました。どことなく東京駅と似ている気もします。ソウル駅では明洞に移動するためにメトロへ乗り換えをしました。
南山公園
ソウルの中心地に広がる南山公園には、Nソウルタワーが建っています。タワーは山の上に建っているため明洞から出ているケーブルカーを使うと楽にアクセスすることができました。散策路も整備されているので徒歩で行き来することもできます。道中では朝鮮王朝時代の漢陽都城の名残である城壁や狼煙台を見ることができます。漢陽都城に限らず、城壁で街全体を囲み東西南北に門を配置するのが、韓国では城の基本構成となっていたようです。
明洞大聖堂
明洞の街を歩いていると突如として現れるのが、立派なゴシック様式で作られた明洞大聖堂です。丘の上に立っている聖堂は、かつては周囲に高層ビルがなかったことから、離れたところからも見えたといいます。 韓国のキリスト教徒の数は国民の30%弱とのことで(日本は 1%)、明洞大聖堂に限らず、韓国に滞在している間に、教会を目にする機会が多かった気がします。
2日目: ソウル中心地の観光
景福宮(キョンボックン)
景福宮は、朝鮮王朝時代に建てられた宮殿です。内装は、日本国内の神社仏閣と比較するとカラフルな色使いで、宮殿なので王のような権力者が座る用の椅子が中心に据え付けられているのが特徴的だと感じました。外装は、日本の神社仏閣にも似た作りになっている一方で、朝鮮時代は仏教弾圧が盛んだったことから、数多くある建物の中に一切仏教に関係する建造物がなかったところが面白かったです。韓服を来ていくと入場料が無料になるとのことで、かつての朝鮮王朝の政治の中心地は現在、観光客のインスタ映えスポットとなっていました。
国立古宮博物館
景福宮の隣に位置する国立故宮博物館には、王宮での生活で用いていた家具や食器、儀式の様子など当時の生活に関わる展示品を見ることができます。当時、天文学は帝王の学問ということで、盛んに天体観測や天球儀、天体図の開発が行われていた事には驚きでした。
北村韓屋村
韓国の伝統的な建築様式を用いて建てられた家屋のことを韓屋というらしいです。景福宮と昌徳宮の間のエリアには、小高い丘に沿って韓屋が密集している北村韓屋村と呼ばれるエリアがありました。頂上から眺める景色はなかなか壮観でした。
昌徳宮(チャンドックン)
景福宮と同じく朝鮮時代に建てられた王宮で、豊臣秀吉の文禄・慶長の役で日本側の兵によって景福宮が焼失させられた後は、メインの王宮として用いられていたようです。景福宮と比べると色合いは控えめで落ち着いた印象を受けました。
国立中央博物館
三国時代から順を追って大韓民国の成立まで、韓国の歴史を体系的に学ぶことができる構成となっていました。後述する戦争博物館も同様の構成でしたが、戦争博物館の方は戦を中心に韓国の歴史を捉えているので、個人的には戦争博物館のほうが見ごたえがあると感じました。国宝の半跏思惟像が展示されている思惟空間では、気づかれないように部屋に傾斜がつけられており平衡感覚がおかしくなったかのような感覚の中、厳かな雰囲気の仏像を眺めるという面白い体験をすることができました。
東大門
漢陽都城の東に位置する大門が東大門です。門の裏手には城壁に沿って公園が作られており、登ることができました。夕日も相まって教会と草原の風景が幻想的な雰囲気を醸していました。
3日目: ソウルと水原の観光
戦争博物館
韓国の防衛省に該当する国防部本部の正面に位置する戦争博物館では、国立中央博物館と同じく三国時代から大韓民国成立までの歴史を戦という観点から学ぶことができました。ただ単に戦争の歴史や悲惨さを伝えるだけではなく、平和のためには国民が一致団結して戦わなくてわならないという意思を感じました。亀甲船の展示なんかもあったりして面白かったです。
水原華城(スウォンファソン)
水原はソウルから30kmほど南に位置する都市で、ソウル駅もしくは龍山駅からKTXを使って30分ほどでアクセスすることができます。駅からバスで10分ほど移動したあたりにある市街地を城壁がぐるりと囲み、楼閣や城門をっ各所に配置した城塞遺跡が水原華城です。小川に係る美しい楼閣と険しい山の城壁が印象的な街でした。
水原華城博物館
水原華城の歴史や建築方法について学ぶことができる小さな博物館がありました。15分程度で回れるので立ち寄ってみると理解が深まりそうです。
4日目: 公州と釜山の観光
公山城
公州は、ソウルから南に約120kmほど離れた都市で、かつて百済の首都が置かれていた都市です。ソウルからは、高速バスで2時間半くらいで向かうことができました。かつての王国の首都とは裏腹に、現在の公州は想定以上にのどかな地方都市で、日本人の姿は全く見受けられず、交通の便もあまり良くありませんでした。
そんな公州に足を運んだのは、公山城と呼ばれる百済時代に建造された山城を訪問するためでした。公山城も同様に周囲に城壁を巡らせて各所に門や楼閣を配置する構成となっていました。現在の公山城は公園のようになっており、城壁に沿って城をぐるりと一周ハイキングすることができました。秋に訪れると紅葉が見られて景色が良さそうです。
甘川(カムチョン)文化村
公州からは、市街地からバスでKTXの公州駅に移動した後に、いちど天安牙山を経由してから釜山駅に移動しました。KTX公州駅の本数が思いのほか少なく時間がかかってしまったので、高速バスがあれば、そっちのほうが早かったかもしれないなと思ったりしています。
釜山では、まず斜面に沿ってカラフルな家屋が並ぶ甘川文化村にいきました。壁画をはじめとしたアートや雑貨店が並ぶ通りがあり、観光客が多数見受けられました。その景観から釜山のマチュピチュとも呼ばれているそうです。
5日目: 慶州の観光
最初に釜山駅からKTXで新慶州駅に移動し、ローカルバスに乗り換えて慶州市外バスターミナルまで行きました。その後、慶州市内の観光地を循環している10番バスに乗って、慶州市内に残る新羅時代の史跡をめぐりました。
仏国寺
仏国寺は、市街バスターミナルからバスで40分ほど離れた郊外に建っている新羅時代に建立された寺院です。当時の人々が描いていた釈迦の国を具現化した貴重な史跡で、世界遺産にも登録されています。橋が外界と釈迦の国を表す寺院を結んでいるという構成みたいです。こちらも、文禄・慶長の役の際に加藤清正の兵によって焼き払われてしまったために再建されたものとのことで、当時の日本人は朝鮮各地で悪事をはたらいていたのだと思い知らされました。
仏国寺 寺刹博物館
仏国寺の中にある小さな博物館で、仏国寺の歴史や再建の様子などを学ぶことができます。
石窟庵(ソックラム)
仏国寺の前から1時間に1本出発する12番バスに乗って、15分ほど山を登った先にある、石窟寺院です。写真撮影が禁止だったため、写真はありませんが、石を削り出して作られた仏像は大変迫力がありました。新羅の時代にあれだけ精巧な仏像を作り上げる技術力に感服でした。
瞻星台(チョムソンデ)
新羅時代に作られた世界最古の天文台遺跡です。直方体上のブロックをボトルのような形状に組み上げて作られており、南側にだけ窓のような穴が空いています。おそらく、この中に入って上部から夜空を眺め、天体を観測していたのでしょう。当時の高い科学技術力を推し量ることができます。
東宮と月池
新羅時代の王宮である半月城から少し離れたところにある、別宮として使われていた宮殿です。当時の建物の一部が再現されています。
国立慶州博物館
新羅時代の歴史や発掘された文化財を学ぶことができる博物館です。王冠の形状や鶏を模したような壺の形状など、日本ではなかなか見られない特徴をもつ文化財をみることができたので面白かったです。
6日目: 釜山の観光
海東龍宮寺
最終日は飛行場に向かう前の午前中を使って、海沿いにあることで有名な海東龍宮寺に行ってきました。近隣には巨大なロッテアウトレットモールや遊園地もあったので、合わせていくと良いかもしれません。
まとめ
6日間で韓国の5つの都市に現存する15の史跡と6つの博物館を巡りました。異国の歴史と文化を学ぶ有意義な時間でした。言語と文字以外は日本とほとんど変わらないなと思えるほど、日本と共通しているところが多いと感じました。距離も近くて気軽に海外旅行に行くにはおすすめの場所だと思います。
付録: 年表
西暦 | 時代 | 事象 | 今回訪れた史跡 |
---|---|---|---|
BC200 | 部族連合社会 | 衛氏朝鮮 | |
BC100 | 前漢により楽浪郡設置 | ||
0 | |||
100 | 馬韓、弁韓、辰韓の台頭 | ||
200 | 209: 三国時代 | 高句麗、馬韓->百済、辰韓->新羅 | |
300 | |||
400 | ・公山城 | ||
500 | |||
600 | 新羅が唐と共に高句麗を滅ぼす | ・瞻星台 ・東宮と月池 | |
700 | 676: 統一新羅時代 | ・仏国寺 ・石窟庵 | |
800 | (後三国時代) | 後百済、後高句麗の復興 | |
900 | 936: 高麗時代 | 王建、高麗を建国 新羅を滅ぼす | |
1000 | |||
1100 | |||
1200 | モンゴル帝国の侵略に苦しむ 倭寇に苦しむ | ||
1300 | 1392: 朝鮮時代 | 李成桂王位につく | ・景福宮 ・南大門 ・海東龍宮寺 |
1400 | ・昌徳宮 | ||
1500 | 文禄・慶長の役にて李舜臣が奮闘 | ||
1600 | |||
1700 | ・水原華城 | ||
1800 | 1897: 大韓帝国時代 | 下関条約により国号改め | ・明洞大聖堂 |
1900 | 1910: 日本植民地時代 1945: 大韓民国、北朝鮮 1950: 朝鮮戦争 | ・ソウル駅 | |
2000 |