奈良先端科学技術大学院大学、通称NAISTの先端科学技術研究科博士前期課程(情報科学区分) 第1回2020年春学期入学試験に合格しました。私自身、文系学部(文理混合)に所属していることから、情報科学区分への院試をするにあたり、周りに相談できる人がいませんでした。ネット上のNAIST受験記にはとてもお世話になったので、同じようなバックグラウンドを持つ方の参考になればと思い、私の受験記録を残しておきます。
バックグラウンド
NAISTは様々なバックグラウンドを持つ方が受験されると思うので、参考までに私自身のバックグラウンドを紹介しておきます。
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文理混合を謳う学部で人間工学の研究室に所属。情報科学関係の授業はほとんど受けておらず、独学で学ぶ。
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卒業研究では、振動フィードバック技術に関する研究を行う。ラズパイやアクチュエータ、電気回路をいじって実験装置を自作。他にもPythonでパルス波を制御するインタフェースを作ったりしていた。
- 学外では、複数社でアプリケーションエンジニアのアルバイトを経験しました。主にRubyやPHPでサーバサイドの開発に携わる。
- 大学を留年してしまい、大学5年生でのNAIST受験。実は今回の受験が、学内、学外含めて初めての院試。
志望理由
今後IT技術者として飯を食っていく以上、情報学分野でしっかりとアカデミックを修めることが、廃ることのない知識や技術を身につける最短ルートのように思えたのが最大の理由です。
上記のような理由で、やはり大学院に行きたいと考えはじめたのが今年の4月です。
ネット上でリサーチをしていたところ、他分野の学生にも門戸が開かれているNAISTを見つけました。
NAISTの論文は結構目にしていたため、研究力が高いイメージは最初からありました。
4月の説明会に参加し、研究環境の良さに惹かれて受験を決意しました。
まぁ、研究の面白さに気づいたのが学部4年の後半だったりで研究に対して、不完全燃焼感があったのも理由だったりします。
学部生がおらず、横一列のスタート+M1から自分の研究に集中できるってのも結構魅力だったりしますよね。
受験対策
オープンキャンパスを終えた5月の半ば~7月の試験日の約1ヶ月半を本格的な試験勉強に充てました。
英語
別の用件でTOEFLを受験する必要があったため、TOEFLのスコアを出すつもりでしたが、良い結果を得ることができなかったため、結局昨年受けたTOEICのスコアを出しました。
平均よりちょい上くらいのスコアだと思います。
英語の配点比率はそこまで高くないので、そこそこ点数があったら、無理にリソースを割かなくても良いのかなと思いました。
小論文
小論は、5月18日のオープンキャンパスで着想を得て、その後1週間でサーベイ&テーマ決定を行い、5月中には第一案を書き上げました。
その後、提出までの2週間程度で、志望する研究室の院生に3~4回添削をしていただきブラッシュアップしました。
中でも、第一案は見当違いなことを述べていたため、添削のアドバイスに従い、大幅な軌道修正を行いました。
試験日当日の口頭試問でも、小論文の内容に関して、結構詰められたので、添削はしてもらった方がよいと思います。何より試験日当日の自信にもつながります。
オープンキャンパスに参加するなどして、志望する研究室の院生とコネクションを作っておくべきです。
数学
大学4年間、数学ノータッチだったので一番苦労しました。線形代数と解析を一から勉強しました。
勉強内容としては、ネット上でも好評なマセマシリーズをひたすら周回してました。
いろいろ手を出すよりも、典型問題をしっかり押さえつつ、定義や定理を理解することに努めました。
一応、試験範囲で指定された教材も、大学の図書館で借りてはいたのですが、試験範囲の確認程度にしか使用しませんでした。
・スバラシク実力がつくと評判の線形代数キャンパス・ゼミ
・スバラシク実力がつくと評判の演習線形代数キャンパス・ゼミ
・初めから学べると評判の大学基礎数学微分積分キャンパス・ゼミ
試験当日
当日は、結構緊張しました。ほとんど受験生はスーツを着ていたと思います。
場所は、家から近い東京会場(品川)で受験しました。
会場に到着すると、待合室に通されアンケートを書いて面接の順番を待ちます。受験番号にもよりますが、長いと2時間程度待たされることになるので、参考書など時間を潰せるものを持参したほうがよさそうです。
1.数学
まず、10分間問題を閲覧する部屋で、問題を閲覧します。この時、白紙と鉛筆も備えられているため解くことができました。解析は、簡単だったので時間内に解いて、代数は途中までやって方針を頭の中で考えてました。
10分経つと別の部屋に入り、試験官を前にホワイトボードで問題を解きます。
ホワイトボードの高さが低くて、書きづらさはありました。
解析→代数の順に解きました。解析は全部解けて、代数は方針を考えていたはずが、緊張からか途中で不安になって、悩んでいるうちに時間切れになってしまいました。
2.口頭試問
最初に小論の内容を3分程度で発表して、口頭試問に移りました。
8割はNAISTで取り組みたい研究に関する質問で、残りの2割が学部での研究や、アルバイトで取り組んだ、ソフトウェア開発に関する質問でした。
いわゆる情報科学に関する質問(OSとは何かについて説明してみて)みたいなやつはありませんでしたね。
基本的には、志望する研究室の先生が、質問をする形式をとるようなので、質問内容にはばらつきがありそうです。
受験を終えて・今後のこと
受験の手応えは皆無でしたが、無事に合格することができました。
最後に、留年しておきながら、院進の決断に不安が無かったわけではありませんが、家族の支えや友人達の応援のおかげで、合格することができました。
大学院では、そのことに感謝しながら、謙虚に新しいことを吸収しつつ、研究に打ち込みたいと考えています。
入学までしばらく時間があるので、今後は、数学や情報科学、英語といった基礎的な領域を補強しつつ、論文を読み込んで興味のあるテーマを拡張したり、個人でサービスを開発したり、OSS活動に挑戦したりしながら時間を過ごそうと思います。